学校閉鎖とネットの反応

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学校閉鎖とネットの反応

クラスメート、どころか学校のほとんどの生徒が消えた次の日の朝、学校から「今日以降も連絡があるまで登校は控えるように」との連絡があった。 マスコミが家に押し寄せてくるかと思いきや、特に誰も来ず、両親も僕に気を使ってか起こしにもこない。 僕は昨晩から引き続き「消えた生徒たち」の動画チェックをすることにした。 ネットでは相変わらず「消えた生徒たち」の配信サイトが流れ続けている。 何しろいきなり100人以上の生徒がいなくなり、その全員がそれぞれ違うチャンネルで映っているので、一人一分見ただけでも二時間近くかかってしまった。 そのあと、去年のクラスの同級生や部活の仲間に的を絞っていくつかのチャンネルを眺めていたが、とうとう眠くなり、起きたときには夕方だった。 とりあえず、ざっと見て分かったことは三つある。 「消えた生徒たち」は、全員それぞれの配信サイト(世界といってもいいのかもしれない)で、主人公的な、何か重要なポジションにある。 二つ目、何か分からないが、何か特殊な能力を持っている。 三つ目、なんだか分からないが、大抵の場合全て日本語が通じている。二つほど、外国語圏の言語があったが、どちらもそこに飛ばされた生徒は留学生なので、多分彼らの母国語なのだろう。 分かったからといってどうにかなるものでもないけれど、一応整理された気がして僕は一人頷いた。 ネットでの反応は「大手企業のVR宣伝のための手の込んだやらせ」から「政府陰謀説」まで色々出ていたが、消えた生徒の中学校の元同級生、近所の人、親戚などと名乗る人々の書き込みとごちゃごちゃになって、とりあえず、どこもめちゃくちゃ混乱してる、という感じだった。 「あんたもうすぐ夜になるしそろそろ起きなさいよ。あと佐藤さんって子から電話来てるけど出る?」 ノックなしで扉を開けた母親がいきなりそういったので、僕は昨日と同じ格好のまましばらく固まった。 佐藤さんとは、去年違うクラスだったので、あまり面識はない。名前がチヒロ、というのも昨日初めて知ったぐらいだ。 だから、理由が全然分からなかった。 なんで僕と佐藤さんだけが取り残されたのか。
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