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僕たちが取り残された理由、佐藤さんの勧誘
「それは多分二人ともスマホを持っていなかったせいだと思う、思います、けど」
僕の抱いていた疑念は佐藤さんによって秒で解決した。いや、してない。
「なんでそんなこと分かるの?」
「あなたの連絡先分からなかったから先生に聞いた、んです。そしたらあなただけクラスのLINEグループに入ってないって聞いて。私もそうだから」
で、先生に確認してもらったら、その日スマホを持っていなかったのは115人の生徒のうち僕と佐藤さんだけだったらしい。
「でも、そんなことであんなことになる?」
「そう、ですよね。単に消えた皆と消えてない私たちの共通点を強いて挙げるならってぐらい。なんでスマホを持ってたら消えたのかの説明にはなってない、ですね」
「そうだよ。スマホを持ってるだけで、あんな大がかりな、っていうか佐藤さんも見たんでしょ、あの光と、クラスのみんな消えたときのこと。あと、その後の動画サイトもみたでしょ」
興奮ぎみに言葉を詰まらせる僕の話を、電話の向こうで聞いていた佐藤さんは口ごもるように少し唸って、それから短いため息をついた。
「そう、私も同級生が消えたのは見ました。動画サイトは見てません。パソコンないので。それで、あの、実はそれはどうでもいいんです。電話したのはそっちの話がしたかったわけじゃなくてもっと大事な用事が」
「え?!」
それより大事な用とかある?!告白的なやつ?!僕は驚いて、ほとんど電話を落としそうになった。
「うちのバイト先が人手不足で、新しく人募集してるんですけど、学校閉鎖の期間中に何か用事あります?親御さん、バイト反対ですか?」
「大事な用事ってそれ?!」
思わず今日一番の大声で叫んだ僕を、母が隣の部屋から怪訝そうに見ていた。
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