出会い

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入学式 side.R 「...続きまして、新入生代表による挨拶です。代表、東 涼也(あずま りょうや)。」 立ち上がった時の小さなざわめきと、不意に前髪を揺らした春風に、入学式独特のまわりの緊張感と不安、そして高校生活への期待を感じる。 ゆっくりと壇上へと上がり、一礼。マイクに口を近づける。 (中学の時はちょっと緊張したけど、今回は落ち着いてるな) 懐かしいことを思い出しつつ、口を開く。 「......美しく咲き誇った桜が私たちを迎えるこの学園に入学し、晴天の下でこのように盛大な入学式を開いて頂き、ありがとうございます。」 広い体育館の左右にずらりと並ぶ教師と、新入生の背後に座る二、三年生に頭を下げて、昨日考えたお決まりの挨拶を読んでいく。 「〜〜〜、新入生一同、この辰宮学園の生徒として、自覚を持ち、成長していきたいと思います。これから、どうぞよろしくお願い致します。」 深々と一礼し、壇上を降りる。最後まで丁寧に。ここも挨拶の一部だ。 短い階段を降りる中、自然と顔を上げたところに。 じっと俺を見つめている、君がいた。
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