豆乳

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修さんはしばらく俺の様子を眺め うん。と一人で頷いた。 「春よ。」 「はい。」 真っ直ぐに見つめられた。 嘘を許さない鋭い瞳。 「お前。何でここに来た。」 前と同じ質問。 でも。 そうだ。 もう誤魔化さない。 「佑さんを守る為に ここに来ました。 今回は。。手が。。出せませんでしたけど。。」 後悔がこみ上がり グッと唇を噛みしめる。 何度も同じ事を考えている。 一体お前は何をしていた。 何のために。 何のためにここに。 沈黙が続き 修さんは また うん。と頷き そうか。と言って それ以上何も聞かなかった。 「ならちゃんと守れ。俺が手伝ってやるから。 これ以上 アイツが傷つかないように。 出来るか。俺に約束出来るか。」 その声音に顔を上げる。 信じてくれている。 何処のどいつかもわからない俺を この人は信じてくれていた。 「はい。。必ず。」 わかった。と修さんは立ち上がった。 「佑のせいで地上げの嫌がらせが起こっていると 噂を流しているのはパン屋の斎藤。 息子の崇は昔から尚之のパシリだ。 崇はああ見えて ギャンブル好きでいつも金が無い。 尚之の言う通りに動いて小遣いを 手に入れてるのかもな。 地上げと関係あるかはわからんが 尚之は国交省の官僚で 代議士の娘との 結婚話が持ち上がっているらしい。」 どうしてそんな事を。。 不思議に思ったのがわかったのか 修さんは ニヤッと笑う。
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