豆乳

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「商店街ナメるなよ。ここは情報の宝庫だ。 うちと明の肉屋、真斗の八百屋は ご近所さんに常連が多い。 奥様方は噂話が三度の飯より好きなんだよ。 うちの嫁さんは話合わせんのが天才的に上手くてな。 矢島さんは昔から息子の自慢ばかりだし。 嬉しそうに話してたよ。 出世が約束されたようなもんだそうだ。」 ふん。とつまらなそうに鼻を鳴らし 腕を組んだ。 「まあ。今 こうなってみると誰も彼も 胡散臭く見えるがな。。尚之や崇だけじゃなくてよ。 親父さんの話とかまだまだ色々ありそうだし。 古参連中 全員信用出来るかって言われたら わからねえしな。。。 ああ。喫茶店のマスター。 京本さんが会合で佑を庇うような事を 言ってくれたのは驚いたが。 とはいえあの人もまだこの街に来て数年だし 完全に信用出来るかといえばちょっとな。。 お前が欲しいのはこの手の情報なんじゃねえのか。」 やっぱり鋭い人だな。。 「ありがとうございます。」 頭を下げる。 おう。と修さんは頷くと テーブルに置いていた ビニール袋を指差した。 「豆乳。佑好きだから。あっためて飲ませろ。 またなんかわかったら教えるから。」 ビニール袋を手に持ち 一緒に店を出て 通りで 頭を下げる。 「色々ありがとうございました。」 うん。と頷き 修さんは踵を返すと 歩き出す。 その背中を見送っていると 振り返り 口を開いた。 「アイツ ああ見えて寂しがり屋なんだよ。 ずっと一人だったからな。 でも お前拾ってからの佑は ホントに楽しそうで。。 良かったって思ってんだ。俺と明。真斗もな。 健ちゃんなんか いい嫁貰ったって騒いでる。」 ああ。 それは直接この間 健さんにまた言われた。 くすっと笑うと 修さんもニヤッと笑う。 「春。佑の事。よろしく頼むな。」 「はい。」 修さんはひらひらと手を振り 商店街へと帰って行った。
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