豆乳

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寂しさを埋める為に固執した。 不誠実だったのは自分もそう。 愛情なんて とっくに無くなっていたのに 利用していたのは俺も同じだ。 もう尚之とは終わり。 今までの自分とも。 ふっとあの時言われた言葉が脳裏をよぎる。 ・・冷静に考えろ。。か。。 言う事を聞かなければ また嫌がらせがエスカレートするのかもな。 尚之が俺を繋ぎとめたかった理由。 性欲処理の相手というのは勿論 ただ それだけじゃない筈。。 ・・うん。 「春さ。」 小さいちゃぶ台を引き寄せ 鍋敷きを敷いて 鍋を乗せた春は振り返る。 ・・犬コロか。 春の事を尚之に勘繰られ内心ドキンと心臓が跳ねた。 でも。 これは気づかないフリをしよう。 春もいつか 居なくなる。 笑って送り出してやりたい。 ただ。 今はまだ。 笑って送り出せる自分になれていない。 今のままじゃダメだ。 それには。 立ち向かわないと。 よし。 「俺さ。親父の事 調べようと思って。 両親が殺された。全てがここから 始まってる気がするんだよな。 本当にこの地上げ騒ぎの原因が 親父にあるのか。 憶測で言われるがまま 受け止めるんじゃなくて ちゃんと真実を突き止めたい。。 今更 そう簡単にはいかないだろうし 何が出来るかはわかんねーけど このままやられっぱなしって訳にはいかないし。」
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