カツカレー

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「・・佑。お前。本気で言ってるのか。」 木村さんは腕を組み 俺をジロッと見つめた。 コクンと頷くと 山田さんと顔を見合わせ はあ。。とため息をつかれる。 中休みのクルトンで 話があると山田さんにも 来てもらい 自分の考えを聞いて貰った。 「わかってる。今更 こんなに昔の話 調べたって何か出来るわけじゃないって。 今回の地上げが親父の件と関係あるかなんて 二人の言う通り 飛躍しすぎな考えなのかも しんないし。。でも 全部 ここから スタートな気がするんだよ。 それに。自分が納得出来ないから。。 俺。ずっと何も知らなくて。知ろうともしなかった。 親がどんな人だったのか。何をしていたのか。 自分の境遇だけ。それだけ悲観して諦めて。 だから それを知るだけでもやってみたいんだ。」 俺がそう言うと 二人はじっと俺を見つめ 顔を見合わせ コクンと頷いた。 「・・わかった。だがな。相手はヤクザだ。 それも俺たち庶民が手を出していいような 奴らじゃない。田島興業は表向き 普通の会社の様だが 中身は稲山会。 日本中 あちこちに支部があるデカイ組織だ。 お前が太刀打ち出来るような相手じゃない。 正二の事は俺たちだって悔しい。 だが 一切証拠は無い。残念ながら お前の両親の件は事故で片付けられた。 当時心無い連中が 心中じゃないのかと 噂を立て始めていてな。 仕方なく 交通事故と表向きは言っていた。 だが。俺も山ちゃんも事故だとは思ってない。」 「なんで?」 木村さんの代わりに山田さんが口を開く。 「佑ちゃんが生まれてから 正ちゃんは こっちに戻ってきて。何年か経ってから 変な連中が正ちゃんに付き纏い始めたんだよね。 それが 田島興業の連中だった。」 「正二も迷惑かけたくないと思ってたんだろ。 俺たちには詳しくは言わなかったが どうも横浜で働いていた頃の知り合いとの間で 何か厄介な事に巻き込まれたらしい。。 亡くなる三日前。正二がここに来てな。 引っ越すって言い出したんだよ。」 逃げるつもりだったんだ。 山田さんは 深く息を吐く。 「佑ちゃんが祭り 楽しみにしてるから それが終わったら早々にって言っててね。。 二人が崖の下で発見されたのは 祭りの次の日の朝だった。」 ぎゅっと拳を握りしめた。
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