ティー・ロワイヤル

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「あの都市開発計画はまだ頓挫していない。 他の土地は既に地上げが終わり 着手しているのも あって計画自体を潰す訳には大川も行かないからな。 ほとぼりが冷めた頃 また再開する可能性が高い。 これは大川が繋がっている反社会的勢力との 関係性を証明出来る資料だ。 それなりの所に託せば 一撃くらいは見舞えるぞ。」 「・・なんで。。」 自分で使わず 何故俺に。。 「これがあれば お前 仕事辞めなくて 済んだんじゃねえのか。なんで俺に。。」 尚之は悪戯っ子のような瞳を俺に向け ニヤッと笑う。 「別に何も企んでねえよ。本当の事を言うとな。 感謝してるんだ。」 全く似つかわしく無い言葉が飛び出し 驚いた。 恨まれこそすれ 感謝されるはずが無い。 ここに来る前は 殴られるのも覚悟してた。 なんでそんな事。。 尚之は立ち上がり うーん。と背伸びをして グラウンドへと目をやる。 「野球続けたかったな。高校入って 無理矢理 塾と家庭教師。部活は出来なかったし。 ああ。お前もそうだったっけ。」 そうだけど。 でも・・そうだったな。 尚之はピッチャーで4番。 女子がキャーキャー言ってて。 でも コイツは成績も落とさず 真剣に野球に向き合って。 毎日 朝から晩までグラウンド走り回って。 カッコ良かった。 それが高校入って 部活には入らず 不思議に思ってたんだけど。。 そうか。 辞めさせられたんだ。 知らなかった。 全然。。知らなかったし 知ろうとも。。
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