ローストビーフ

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え。。 狭川さんは優しい笑みを浮かべ 頷く。 話してごらんと言われた気がした。 なんだろ。 肉親に甘えたくなる感情って こんな感じなのかな。。 ぎゅっと胸が苦しくなり ワッと想いが込み上がる。 「・・狭川さん。すいませんでした。 俺のせいで 皆さん・・にも沢山のご迷惑を おかけして。。あの・・俺。。 本当に・・申し訳なく思ってます。」 狭川さんは何も知らない。 ちゃんと説明しなきゃいけないと思いながら 上手く言葉が続かない。 きっと。 俺がしなければいけない事はただ一つ。 でも。。 でも。。。 「・・それでも。春と・・俺は この先もずっと アイツと・・生きていきたい。 どれだけ 皆さんが春の事を想っているか・・ 少しは。。わかっているつもりです。 男同士で・・こんなの・・許されないのも・・ で・・でも。。俺は・・。」 ポロっと涙が溢れ 慌てて手の甲で拭く。 ああ。。まただ。 弱くなったな。。 泣き虫になっちゃった。 じいちゃんばあちゃんが死んでも泣かなかったのに。 親が死んでも 泣かなかったらしいのに。 ずっと1人だったのに。。 全部諦めていたのに。。 今は感情がどんどん溢れ出し 簡単に涙腺が崩壊する。 弱いから。 弱いからこそ 強くありたい。 立ち上がり 何度でも立ち上がり 前を向いて。 春と一緒に。。 布団から太い腕がそろそろと出て ポンと俺の頭に手が乗った。
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