ローストビーフ

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佑が落ち着いた頃を見計らい 親父を少し休ませようと病室を出ると 堺が佑に向かって 頭を下げた。 「佑さん。辛い思いをさせましたね。 本当に申し訳なかった。」 「いえ。。俺の方こそ こんな事になって。。 申し訳ありませんでした。」 またペコペコと頭を下げあう二人に 後から病室を出てきた京本は苦笑いを浮かべながら その様子を眺め 割って入るように口を開く。 「佑くん。良かったら飯を食っていかない? 親父もそうしてやれって言っていてね。 本家で宴会の支度をさせるからさ。 翔も戻ってきてるし 明日も休みだよね。 そのまま 坊の所に泊まればいい。」 え。。でも。。 佑は躊躇し ちらっと俺へ視線を寄越した。 あんな事があり 自分は歓迎されてないと 思ってるんだろうな。 京本の心理が読めないけど でもその表情は 大丈夫だと言っている。 そうだな。 このまま帰るよりいいかもしれない。 「せっかく来たんだし 寄って行こうか。 大丈夫。俺がいるでしょ。」 手をぎゅっと握り そう言うと 佑はしばらく考え コクンと頷いた。 「ありがとうございます。。じゃあお邪魔します。」 うん。と京本は頷き 堺は嬉しそうに微笑んだ。 ああ。 そうか。 二人にしたら 大事な兄弟分の息子なんだったな。 今回の一件で いつも冷静沈着な堺が 激怒し 藤田を半殺しにしたと聞いている。 佑には言えないけど。 「宴会ってまさか飯 アレじゃないよね。」 空気を変える為に 軽い口調で そう聞くと 京本はニヤッと笑う。 「今 連絡したけど 帰ってきてるなら 是非にってね。」 あー。 やっぱりな。。 連絡入れてないし どうしよう。。 天を仰ぐ俺に 佑は不思議そうに首を傾げた。
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