ローストビーフ

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門を潜り 綺麗に整えられた庭の間を 通り抜けるように 石畳を歩いていくと 立派な日本家屋。 二回目だけど。 やっぱりすげえ家だな。。 佑はまるで初めて来たかのように キョロキョロと 辺りを見ながら 堺の後に続いた。 「さあ。どうぞ お入り下さい。」 重厚なドアが開き 佑が一緒躊躇すると 春がすっと肩を抱く。 「大丈夫。一緒に行こう。」 安心させるように ニコッと微笑んだ。 本当にいいのかな。。 皆さんも内心 この野郎って思ってるんじゃ。。 春が皆さんに大事にされているのは わかってる。 例え 本人にその気が無くても あんな事が起こるくらい 想われてて。。 足が竦むのが分かる。 でも。 逃げてもいられない。 認めて貰えなくとも ちゃんと謝って。。 そう。 謝りたいと思って 寄らせて貰う事にした。 自己満足でしか無くても ちゃんと。。 ふう。と息を吐き出し 春を見上げて頷くと 春は足を踏み出し 俺を連れ 中に入る。 広い玄関に 大勢のそれっぽい方々が 何列にも並んで正座していてビクッと体が硬直した。
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