ローストビーフ

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チャポン・・・・ チャポン・・・・ うーむ。。 ・・・それにしたって すげえデカイ風呂だな。。 佑はキョロキョロと辺りを眺める。 大きな御影石の浴槽に 春と二人で並んで浸かり 顔を見合わせて苦笑いを浮かべた。 うちも風呂は自慢だったけど ここは 温泉旅館の大浴場って言っても大げさじゃない。 洗い場だっていくつもあるし。。。 道場も立派だったし 畳敷きの道場の奥には トレーニングルームもあって どう考えたって普通の家じゃない。 まあ ハナから普通じゃないけど。 道着を着替えようと立ち上がると 神宮寺さんが 「飯の前に風呂をどうぞ。ついでに坊もご一緒に。」 そう言って はいはい。と急き立てられるように 風呂場に 春と二人連れてこられた。 久しぶりに気持ちよく汗もかいて 確かに風呂には入りたかったから嬉しいけど。 それにしたってなぁ。。。 「さすがに実家で悪さは出来ないよ。」 春は見越したようにそう言って くすっと笑う。 「バ・・バカっ。違うって。」 急いで打ち消すが またそれもなんか違う気がした。 「だから! えっと そーじゃなくて なんか気が抜けちゃって。 俺。受け入れて貰えないとか思ってたからさ。 とにかく自己満足でもいいからきちんと謝ってって 思ってたぐらいだったのに なんかあんな風に 皆さんに迎えて貰って。その上親父の防具も。。。」 嬉しかった。 皆さんがどれだけ親父を大事に思って くれていたのかを知る事が出来て  本当に嬉しかったし。 それに 少しでも親父を思い出す事が出来た。
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