豆乳

8/29

3101人が本棚に入れています
本棚に追加
/540ページ
この商店街に来て まだ数年の京本さんの発言に それまで ただ呆気にとられ状況を見ていた人達が ワイワイと口を開いた。 修は腕を組み 「佑がやらねえならうちもお断りだ。 若造に発言権がないから我慢して黙ってたがよ。 こんな茶番に付き合う暇はねえ。」 スパンと切って捨てるように言う。 明もそうだな。と同調し 「うちもコロッケ出すの止めるわ。 一致団結して商店街を盛り上げようって 意図から外れてるでしょうが。こんなの。 佑んとこは大和しか居ないから 祭りってなったら 店閉めるしかないのに 人気店だから出てくれないと 困る、毎回商店街の為に参加しろって 頼み込んだのはアンタ達だろう。ええ? 斎藤さん。 そうでしたよね?」 おいおい。。と山田さんは息子の明を 宥めようとするが 頑固な明は 話を聞かない。 こんなのダメだ。。 「あの。もうやめて下さい。 修も明もそんな事言うな。困らせるだけだろ。 俺は構わないんで 今回は見送ります。 すいませんでした。」 頭を下げると 明は不服そうに 山田さんを睨みつける。 「佑が謝る事じゃないだろ。 親父。俺はこんな話なら 乗る気はないよ。 店やってた方が儲かるんだからな。」 「だから。ちょっと待てって。。」 結局あちこちで揉め始め 一旦保留となり 逃げるように帰ってきたんだけど。。 商店街を通りたくなくて 遠回りしながら 店へと帰る。 こんな気持ちになったのも生まれて初めて。 まさかこんな事になるなんてな。。 この街。出た方がいいのかな。 俺がいなければ 嫌がらせも無くなるのか。 でも。ならどこに行けばいいんだろ。 ひとりぼっちで。 行くとこなんか。。 春に話を聞いて貰い 気持ちが落ち着いた矢先 噂が流れて。 耳に入ってきてからは 人の視線が気になり始めた。
/540ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3101人が本棚に入れています
本棚に追加