豆乳

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「・・崇に聞いたのか。」 尚之は肩を竦め 答えない。 「だから言っただろう。あんなちっぽけな店 早く売って 自由になれって。 今からでも遅くない。周りだって お前のせいだって言い始めてんだよな。 そんな所 居たってしょうがない。 あの辺りは商業施設にすれば土地の価値も上がる。 あんな商店街 とっとと潰しちまえばいいんだよ。」 力が篭った言い方に違和感を覚えた。 そういえば コイツ。。 「お前。まさか。。あの辺りの開発に 携わってるのか。だから。。」 尚之は官僚だ。 それも確か 国交省。。 「悪い事は言わない。面倒な事になる前に 早くあそこを出ろよ。 行く所が無いなら俺の所に来ればいい。」 嘘だ。 コイツ。。俺を唆して。。 ベッドを降りようとすると腕を掴まれ 押さえつけられる。 必死に動いてもビクともせず ニヤリと笑われた。 力じゃ敵わない。 「お前。ひとりぼっちになるぞ。 村八分になって 家族もいない。 でも俺がいるだろ。 別に今まで通り お互い楽しめばいい。何が不満だ。 店と家を売れば 金も出来る。 あんな惣菜屋やめて 自由になれよ。」 「は・・離せ・・。」 顔を背ける俺へ 冷たい視線を向けた尚之は 手を振り上げた。
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