夏をご存じない

1/4
前へ
/4ページ
次へ
 秋が一足早くきたような朝だった。  空気は澄んで冷たく、長袖のシャツを着て出かけても、気詰まりな思いをせずにすみそうだ。  夏が楽しいなんて思ったことは一度もない。私は肌が荒れやすく、首元や肘の裏は人目に晒せない。水着などもってのほかだ。  私は自分の、知夏という名が嫌いだ。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加