0人が本棚に入れています
本棚に追加
コウモリが本格的に定着したのは、合唱祭のイメージ画づくりの時間だったと思う。
獅子原さんと烏山さん、どちらのアイデアを採用するかでクラスは真っ二つに割れた。
私はどちらにも加勢しきれなかった。決してどうでもよかったからではない。どちらにも秀でたところが少なからずあると思ったから、即断できなかっただけだ。
だけど、いやに殺気立ったクラスメート達(級友、という言葉は使いたくない。あいつらは断じて友なんかではない)は私の煮え切らない態度を、八方美人だと責め立てた。
「サチはどっちの味方なの」
「嫌われたくないからって、いい顔しないでよね」
「卑怯者」
「いくじなし」
かくして私は、嫌われ者のコウモリになった。
最初のコメントを投稿しよう!