森幸はコウモリである

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 コウモリが本格的に定着したのは、合唱祭のイメージ画づくりの時間だったと思う。  獅子原さんと烏山(からすやま)さん、どちらのアイデアを採用するかでクラスは真っ二つに割れた。  私はどちらにも加勢しきれなかった。決してどうでもよかったからではない。どちらにも秀でたところが少なからずあると思ったから、即断できなかっただけだ。  だけど、いやに殺気立ったクラスメート達(級友、という言葉は使いたくない。あいつらは断じて友なんかではない)は私の煮え切らない態度を、八方美人だと責め立てた。 「サチはどっちの味方なの」 「嫌われたくないからって、いい顔しないでよね」 「卑怯者」 「いくじなし」  かくして私は、嫌われ者のコウモリになった。
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