第零話 黒幕

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 老人の名は、『大山(おおやま)(つとむ)』。  十五年前の生物災害では都市の外れにある桜山病院にいたが、独立武装組織『半鬼狼(はんきろう)』の参謀である『桐崎(きりさき)永人(ながと)』に連れられ、早々に避難した。その後、桐崎は服用していた『狂鬼化薬』の副作用で脳死し、大山は国の支援を受け『オニノトキシン』研究を継続していた。とはいえ、最先端の医療技術は失われ、有識者の研究チームも壊滅したために、大山一人で『オニノトキシン』の全貌を解明しなければならないのだが……  それもやむを得ない。オニノトキシンには『千里鬼眼(せんりきがん)』という厄介な性質がある以上、情報漏洩の危険性が非常に高いのだ。それでも、桐崎が脳死する前に大山へ伝えた情報もある。ゆっくりではあるが、確実に研究は進んでいた。
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