第五話 老兵の意地

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第五話 老兵の意地

 翌日の朝、教室の席へ着いた蒼は昨日の平二の言葉を反芻(はんすう)していた。一晩考えてみたものの、自分の戦う目的が明確にならない。「う~ん」と首を傾げ眉を寄せる。そうこうしているうちに、講師の高塚が現れ講義が始まった。 「よし全員いるな。本日は獣鬼についての講義を行うが、最近復帰したばかりの大林のことも考えて今までの復習から始める」  高塚は相変わらずの険しい表情で、威圧感を纏わせながら講義を始めた。年齢は三十代前半だと言うが、これでは嫁の貰い手など……と失礼なことを考えていた蒼が前を向くと、般若のような形相の高塚と目が合った。背筋が凍り慌てて下を向く。
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