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「監視カメラでもしかけておったか」
大山は静かに立ち上がり辺りを見回す。素人ではそんなもの見つけることはできないが、その線が濃厚だろう。監視カメラで監視している人間の目を『千里鬼眼』で盗み見る。シンプルだが確実だ。
大山が喋っている間にも獣鬼たちはのっそりと近寄ってくる。
「ふっ、浅はかじゃな『志郎』。こやつらがここに来たということは、儂の考察が正解だということの証明。身内の起こした不祥事じゃ。たとえ死んだとしても、必ず儂が決着をつける!」
獣鬼の目を見て、ここにはいない者へ向かって叫ぶ大山。
その強い意志に反応してか、ついに獣鬼が地を蹴り、その獰猛な牙が大山へと突き立てられた――
その日、人類の希望であった大山功の研究室は原因不明の爆発によってその研究成果ごと吹き飛んだ。同時に大山の遺体も発見され、日本は水面下で確実に追いつめられていくのだった。
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