第二話 鬼穿

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第二話 鬼穿

「いいか貴様らぁ、何度でも言うぞ。甘さは捨てろ! 獣鬼に言葉は通じないし、待ってもくれない。つまり、私がここで貴様たちに情けをかけるたび、戦場で貴様らの死ぬ確率が上がるというわけだ!」  学校跡地の校庭に鬼の形相で仁王立ちし、厳しい現実を突きつけているのはムサシの戦術講師『高塚有紗(たかつかありさ)』だ。鍛えられた筋肉に短髪で全身から強烈な覇気を放っている。まるで女剣闘士だ。  ムサシとは、国家防災局直轄の武装組織だ。災害以前は民間警備会社として名を馳せていたが、災害後『獣鬼』対策の中枢として機能するため、各地の企業や警察などと統合し、今では国お抱えの軍隊と化した。この中には自衛隊も含まれているが故に、事実上日本を獣鬼の脅威から守る唯一の軍隊となる。
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