あんぽんたんから貴方へ

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 私の性格を金太郎飴みたいだと貴方は言う。心外だなと思う。 私は私なりに複雑なところもあるのだ。年頃の女性だし。    私のことをあんぽんたんだと貴方は言う。やはり心外だなと思う。 これでも学はないが、お利口さんな方だと自分では思う。 でも、貴方がそう言うならあたっているんでしょう。残念ながら。  私は直ぐに落ち込む、そしてすぐ浮かれる。そんな私のくだらない話を貴方は良く聴いてくれる。 私を落ち着いた気持ちにさせてくれる。    貴方は片づけが下手な私に怒るのではなく片付け方を教えてくれた。 百円ショップで沢山便利グッズを一緒に買って狭い部屋をカスタマイズした。 あら不思議、居心地のいい部屋になった。      貴方は外に出るのをめんどくさがる私を散歩に連れ出してカフェなる処でスイーツとカフェオレを奢ってくれた。 休みに歩いて出かけるのが好きになった。    熱が出て辛いとき、貴方は両手に沢山のアイスとゼリーと野菜ジュースを持って現れた。私の息が穏やかになるまで番をしてくれた。  私はよく夢にうなされる。理由はわかっている、でも言いたくない。貴方は何も聴かずに抱っこしてくれた。  いつも助けてもらってばかりだ。  それでもやめて欲しいこともある。 太った私の贅肉を掴んで、猫のように揉んで来る。きっと悪い癖になっている。    心配なこともある。 私を甘やかしすぎなところ。 いつかつまらない私に呆れて別れを告げられるのではないか。    貴方が側にいなくなったら寂しい。    いつの間にか貴方がいる人生の豊かさに幸せを感じているあんぽんたんで金太郎飴みたいに単純な女がいる。  貴方にならいつか悪夢の理由も話せる気がする。  そしてできるのならば時間がかかっても私も成長して貴方の助けになりたい。  補助輪くらいにはなりたいんだ。    少しずつ、私も貴方も歳をとって行く。六つも歳は離れているし先に召されるのは私だと信じている。 貴方が先に召されたら、きっと神様をうらんでしまう。 だって少しでも貴方と一緒に長くいたいんだ。もう随分前から恋情は愛に変わっている気がするよ。  貴方と会ったのは偶然だった。そして赤い糸をお互いに手繰り寄せて結んで今がある。 それは緩んだりきつくなったりしながら、切れることもあるかもしれない。 でも必ず結びなおすよ。その努力なら私いくらでも出来るから。  貴方は私の灯台、足元を照らしてくれる。    愛しています。 
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