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 驚くなと言われていたのに、うっかり驚いて声も出なかった。川上陽菜乃?! 「へっへーん、どうよ?声も出ないだろ?クラス一の美少女と俺、羨ましい?」  全くもって羨ましくなどない。適当に相鎚を打ちながら別の事を考えていた。  三日程前、“花火大会の打ち合わせ”を口実に、急に家に押しかけて来た川上は、俺に告白のような事をしてきた。「付き合う?」って軽いノリのフリをしていたけど、「ムリ」って即答したら、川上の表情は一変した。驚きと怒り、自信家の川上はまさか自分が振られる等とは、これっぽっちも考えていなかったんだろう。  結局、打ち合わせも何もないままに、来た時と同様に唐突に帰って行った。 「…いつから付き合ってんの?」 「ん?三日前にね、陽菜乃が家に来てさー。付き合う?って、でへへ。んで、昨日は二人でプールに行ってきたんだ。」 「へぇ。」  返事をしながらも頭の中が忙しかった。三日前、俺に振られた脚で水島の家に行ったのか?川上の意図を計りかねた。  まあ、二人が良いなら俺には関係ない話ではあるけれど、全く関係ないとも言えない。二人が付き合い始めたと知ったら原田優奈が悲しむ。
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