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 その日、帰りの昇降口でタイミングを窺っていた。原田をつかまえるために。  水島と川上と原田と俺、四人で花火大会に行こうと言い出したのは川上だった。だけど結局言い出した川上は、水島と二人で行くことにしたらしい。原田はそれを聞いてどう返事をしたんだう?  下ばかり見て歩いていた原田は、俺の姿など気付きもせずに通り過ぎた。泣きそうな背中に声をかけて呼び止めた。 「原田!」 「あ。平原くん……」 「花火大会、アイツら二人で行くらしいけど、俺たちはどうする?」 「…一緒に行く?」  一瞬の間の後、縋るような目で俺を見た原田は、天の助けと言わんばかりの表情でそう言った。  てっきり「行かない」という返事が返ってくるとばかり思っていた。でも、その縋るような返事は、行きたくないけど行かなきゃ行けない何かを思わせた。  原田は俺と行きたい訳じゃない、そんな事は分かっていた。それでも、俺はやっぱり原田と行きたいと思っていた。一緒に行くことが原田の助けになるなら。 「…いいよ。」  嬉しいような、悲しいような、複雑過ぎる気持とともに、そう返事をした。
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