1人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
部屋の隅に安置している亡骸に歩み寄り、そばで膝を折って、そっと撫でてやる。
「また、助けられちゃったな……」
あの子に出会った日から、私はちっとも成長できていない。
――こんなことじゃ、いつまで経ってもメイが安心できないじゃない。
もう一度、涙をぬぐった。
私は弱虫で意地っ張りだから「思い出を胸に前だけ向いて生きていく」だなんて大きなことは言えない。
後ろを振り返ってしまうことも、あの子が恋しくて涙する日も、きっとあるだろう。
けれど、私なりに歯を食いしばって、懸命に生きていこうと思う。
またいつか、あの子に逢えるそのときを、笑って迎えられるように。
最初のコメントを投稿しよう!