三つ編みの彼女の場合

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三つ編みの彼女の場合

あの子は弱くて、いつも入院していたよね。 それで、そう。 あの子がいなくなったのは、退院する一週間前。 ようやくいっぱい遊べるねって喜んでいたのに、だんだんあの子の表情が暗くなっていったのを覚えてる。 一週間前に、急にいなくなったよね。 毎日毎日、小さい頃からずっとお喋りしていたあの子が、私の前からいなくなったの。 悲しくて、いくら呼びかけてもだめだった。 ……そういえば、覚えているかな? あの子、夕陽の中の教室に憧れていたの。 映画の場面で夕陽が差す教室を見てから、ずっとそこに、そんな場面に憧れるって言っていたよね。 それなのに、あの子じゃなくて私たちがいるなんて。 あの子がいなくなった日? よく覚えてる。 こんな風に夕焼けが綺麗な日だった。 朝から暗い顔をしているあの子が心配でずっと一緒にいたんだけど、気づくとあの子は屋上にいた。 そして。 病院の屋上から飛び降りたのよ。 急いで屋上に着いたときにはもう間に合わなかった。 今でも、あの子がいないことが信じられないの。 あの子が戻ってくるならなんでもする。 あの子が私の、私たちのもとからいなくなった理由を知るためなら、私は何をしてもいい。 え、理由の仮説? ……もしかしたらなのだけど。 あの子、小さい頃にお父さんを、あの子がいなくなったのと同じように飛び降り自殺で亡くしているの。 同じようにいなくなったから、もしかしたらと思って。 私の話は以上よ。
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