胡散臭い彼の場合

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胡散臭い彼の場合

じゃあ次は僕が話そうか。 あの子との思い出はほとんどないけれど、強いて言えばよくトランプをしたことかな。 ほら、僕は昔からいつもこんな風に笑っていたから、ババ抜きではいつもあの子には圧勝だったよ。 でも、あの子と以外はトランプをしたことがなかったからあの子が弱すぎただけかもしれないけどね。 ……では、本題だ。 あの子がいなくなった日、僕はあの子と家で遊んでいた。 あの子と遊んでいて、あの子がいきなり包丁を取り出して僕に突きつけてきた。 包丁で、僕はあの子に刺されそうになった。 だから、通報してあの子は警察に連れていかれた。 それが、あの子のいなくなった理由だ。 どうしてあの子がそんなことをしたのか僕はよくわからないけれど、たぶんあの子の母親が原因だよ。 父親が自殺して、母親がノイローゼになったんだ。 それに耐えきれず、ああなったんだよ。 あの子がいなくなったのは、飛び降りじゃないさ。 まして、死んだからでもない。 ……僕の話は、これで終わりだよ。
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