ポルターガイストの家

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 妹が聞くと「それは厄除けよ」と、母が答えた。  兄は眉間に皺を寄せ、じっと見つめている。私もなんだか急に不安を覚えて、ゾクッとした。 「じゃ、二階も見に行ってごらん。自分たちの部屋を決めなくちゃね」  促されて納戸を出ると、北側にある階段を上って二階へ進んだ。  階段は最初の三段目から左へ九十度曲がっており、そこから先を真っすぐ南方向へ上がっていけば横一文字の廊下に突き当たる。左右にそれぞれふたつずつ、計四枚のドアがあった。  私たちは南東側の角部屋から確認を始めた。絨毯敷きの六畳間だ。北側の壁には押し入れとクローゼットが並んでいる。私と妹は、その部屋を双子の姉妹で仲良く使えば良いと言われた。この部屋の真下には、リビングに隣接した六畳和室があるという。  兄は隣の部屋。南西向きの窓があり、同じく絨毯敷の六畳間。でも収納はないという。  兄の部屋の向かいにある引き戸を開けると、三角屋根の屋根裏部屋みたいな天井の低い部屋になっていた。母はここを自分の寝室にすると言った。  もうひとつの引き戸は、三畳ほどの納戸。ウォークインクローゼットと母が言うけれど、窓がないため照明をつけないと真っ暗である。  窓を開けて顔を出してみる。荒れ地の向こう側にある国道に様々なタイプの車が西へ東へ流れているのが良く見渡せた。交通量はかなり多そうだ。  周辺は火山灰土の広大な荒れ地がただ広がっている。職業訓練所や市営バスターミナルの音が聞こえてくるほかに人の気配はあまりない。人の背丈を悠に超える雑草と月見草と呼ばれている黄色い野花やぺんぺん草が群生していた。
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