ポルターガイストの家

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 周辺には頼れる人がいないので、他にどうすることもできず、四人で手を繋いで犬のお巡りさんの歌をうたって自宅へ入った。幽霊は犬が嫌い、という勝手な思い込みによる即席の魔除けである。効き目の程はわからないけれど、勇気は湧いたような気がした。  室内に入ると、ラップ音が鳴っていた。リビングでも、仏間でも、階段の下でも、トイレでも。 割り箸を割るようなパキンという乾いた音が、ひっきりなしに鳴っているのだ。  幼馴染が電話を終え、父親から電話を待っている間も台所からなにか落ちる音が聞こえている。私は手の甲の皮膚を噛んで、恐怖を痛みで誤魔化していた。  ガラガラ、ガシャン。  シャッターの音が何度も繰り返される。さっき見たときは閉まったままで、開いてはいなかった。ここにいる四人ともが聞こえているため、幻聴なんかじゃない。  電話が鳴ったときは、飛び上がるほど驚いた。電話に出ると、彼女のお父さんの声。こどもの話が突飛すぎると大人はなかなか信じられない様子で、とにかく今夜は彼女のうちに私達三人が泊っても良いという許しを得ることが出来た。  一泊分の着替えをまとめて家を出る。シャッターが開いていて、そこになぜか秋田犬が繋がれていた。  この犬は父が連れてきた雄犬で、南側の犬小屋に繋がれているはずだったのに。いつの間にか北東側の玄関前に来ている。  ―――誰がどうやって? 「なんでこの子がここに……?」  もう、そんなことどうでもいいから早く逃げたい。四人とも、もう余裕がない。
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