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1年後。
桜の精は人々に向かって咲き誇った自分を
見せて自慢していた。
『素敵でしょ?綺麗でしょう?もっとその
薄い板でパシャッとやっていいのよ!』
「…桜。」
その声に桜の精は反応しない。通りすぎる
数多の人々の感嘆の言葉の1つだと思って
いるからだ。
「…嘘つき、覚えてるって言ったのに…
また、忘れるんだ?」
それでも彼女は振り返らない。自分は、
桃は去年うずくまっていた場所で涙を流す。
『…あら?泣いてるの?私みたいな美しい
花が近くにあるのに?泣いてないで……』
またあの声が近づいてくる。大好きな親友
だった桜の声がする。去年と同じように。
一昨年と、同じように。
…あぁ、あの子がまたいなくなった。
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