第十五章 The Second  departure

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翌朝。 物憂げな表情のレオノラのもとに リーディはやってきた。 「レオノラ」 「…知ってたわ。あなたが私を拒否してすぐに 初めて国を出て行き・・・帰ってきた時に、別の誰が心にいたこと。」 「・・・ああ。」 レオノラは窓から海を眺めながら、静かに佇んだ。 「わかっていたのよ。私とあのまま一緒にいても あなたはダメなまま、いたずらに時を浪費していただけ。 闇から引っ張り上げたのは・・・彼女なんでしょ?」 「・・・うん。」 リーディは少しさみしそうに微笑んで、しかしながら口調ははっきりと答えた。 「私ってホントバカだわ。3年前だってはっきり言われていたのに。 好きな人ができたって。」 「・・でも俺も甘えてたんだ。レオノラに。」 「・・・こんな風になっても、実は今でも好きなの。でもそれはあなたへの 愛の押し付けに過ぎなかったわ。」 「・・・。」 「けれども頭でわかっていても心はついて行かないから だから・・・決めたの。しばらく島で静養するから…。」 気付くと、レオノラはリーディの方を向いて微笑んだのだ・・・。 「彼女、強い人ね。なんとなくだけどあなたが彼女に 惚れ込んだのは何故か、少しだけわかった気がする。」 「そうだな・・・。」 確かに、ステラは強い女だ。 でも俺は、その強さが突然折れるのではないかと 懸念している。今も・・・。 そう思ったが彼はその心の内は言わなかった。 あとは目の前のこの彼女が・・・一日も早く元気になってほしいと願うばかりだ。 *               *                 * 数日後、プリオールはレオノラとその侍女を連れて 王家の船でリンデルへ戻っていった。 「王女、王子・・・それにみんな・・・。本当にご迷惑おかけします。」 レオノラは真新しいローブに身を包み、礼をした。 「いつでも帰ってらっしゃい。気持ちが落ち着いたら・・・。」 フィレーンが優しく、力強く答える。 「僕も付いてますのでご安心を。本当にありがとうございます。」 「プリオールの力は折り紙つきじゃ。」 ヴィーニーも頷いて彼の背中を押す。 「ステラ、困った時は・・リンデルに来てくださいね・・・。僕が力になれれば 協力します。」 「うん。プリオールも気をつけて・・・。色々こちらもありがとう。」 ステラもプリオールの手を握って笑った。  *                  *                    * その後、私達は魔方陣を利用して洞窟の最深部であるエターナルメタルの祠へ赴いた。 しかしインバー神はキャロルも違うと言った。・・・そしてせっかく目の前にエターナルメタルの 鉱脈があるのに私たちは歯が立たないまま…。 そして、島の(スフィーニ国)の風の塔へすぐに出かけたが、 今度は扉が封印されていて開かない。 結局、振出しに戻ってしまった…。 どうしようと悩んでいた矢先、全員のペンダントの石が 本当に久しぶりに光った。 方向は?地図と照らし合わせてみるとゲランの方角だ。 どういうことなのかしら…? またムヘーレスに戻るってことなの? 「とりあえず、城に戻るか」 リーディが移動呪文を詠唱しようとする。 「またいろいろ調整しないといけなさそうだね。」 コウが弓をしまう動作をして、溜息をついた。 最後の仲間は・・・どこに? 風の塔の封印・・・。 そして、エターナル・メタル・・・。 それに、ディーダを討てたと言えども・・・ まだ魔族は・・・リスナーは生きている・・・。 私は俯き、拳を握りしめた・・・。
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