第十五章 The Second  departure

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   休んで一眠りをしてからステラとその仲間3人は王女であるフィレーンに王の間に呼び出された。   王の間は昨日の闘いで天井が吹き飛んでいた。天井のない空は青く、晴天。悪夢のような闘いなんてまるで無かったような天気である。 「ステラ、キャロル、メイ、コウ・・・そしてセシリオ、本当にありがとう・・・。 そしてゴードンとヴィーニーも・・・結界を守ってくれて・・・プリオールも補佐を有難う。スフィーニの被害が最小限に抑えられたのも皆のおかげだわ。」 「いえ・・・。」 皆一堂に礼をする。 「あの・・・王女様・・・」 メイがおずおずと口を開く。 「何?」 「リーちゃんは・・・?」 その問いかけに、ステラの表情が少し動いた。そしてフィレーンは軽く首を振った。 「・・・ちょっとね。本懐を結果的に遂げられても・・・本人は複雑なようで・・・ 墓地にいるわ。そっとしておいてあげて。」 一方で。 ゾリアはレオノラが休む城の救護室に居た。 レオノラの様子を見ていたのだ。 ―王子もレオノラも…。 4年前の襲撃からいろいろ曳きづっていたのだろう。俺が王女と石碑の様子を見に行くまえにレオノラと擦違ったが確かに違和感があったけど、まさか操られていたとは。 魔性との闘いの様子はまだ皆から聞いていない。 王子は憔悴しているし・・・。 するとノックの音がして、扉が開いた。 そこにはステラをはじめとした仲間たち4人とプリオール神官がいた。 「ステラ、皆。」 「・・・目を覚まさないって聞いて。」 キャロルが身体の様子を診る。 「確かに肉体的なダメージまではないけれど…」 プリオールの方もちらとみて、彼女は呟いた。プリオールも目配せに頷き言葉をつなぐ。 「そうですね・・・何かこの現実世界に戻りたくないような葛藤があるようです。」 「現実を観たくないって…。」 メイは気が付いた。 彼女が自ら魔性の放った閃光に撃たれようとしたところを。 「ずっと目を覚まさないってことは考えられる?キャロル」 「そうね・・・。無意識の中で拒んでるとしたら、あるわ…そうなると飲まず食わずでいることになるから必ず肉体にも影響がでてくるの。」 ステラは黙って彼女の寝顔を見た。 確かに決して安らかではない。 「このままだと衰弱してしまうから…気付けの呪文をかけてみるわ。」 そう呟くと、キャロルは静かに祈りを捧げた。             ―ゆらゆらと揺れる視界・・・私は・・・?? 呪文が効いて、レオノラが目を覚ます。するとそこには心配そうに顔を除くゾリアがいた。 しかし、目覚めたと自覚をしたレオノラは落胆した。 ―私・・・死にきれなかった。あの時 魔性に撃たれていれば…よかったのに。 ぼんやりした視界がはっきりしてきて 何人かが自分を取り囲んでいる。その中に 自分を庇った彼女を見つけた瞬間、だった。 ガタンッ! 彼女は突然起き上がって、急にステラに食ってかかったのだ。 「あなたはどうして邪魔ばっかりするの? もう私には何も無い。生きるのがうんざりなのよ…!」 「・・・・・・・!!」 ステラは・・・いや周りにいた皆はあまりに急な変貌に狼狽えた。茶色の髪を振り乱しながら、レオノラはステラに詰め寄る。 「死なせて!死なせてよ!」 その言葉を聞いた瞬間ステラはカッとなり 思わずレオノラの腕をつかんでいた。 「簡単に死にたいなんて言わないで。」 静かだが、迫力のある声色。 しんと静まり返る。 「死んだらもう、元に戻れないのよ?軽々しく言わないで。それに・・・残された人達も皆苦しむわ。わかるでしょう?あなたも 残された身でよくわかっているはずよ?」 「・・・。」 レオノラは圧倒されて黙りこくってしまった。 「私のことは憎んだって構わない、それで済むのなら。でも、死にたいなんて・・・ましては自殺なんてしたら許さない。 死にたくなる気持ちはわからないではないけど…だからこそ生きなくちゃならないの。」 「・・・レオノラ」 一部始終を見ていたゾリアが静かに言った。 「何も残ってないなんて言わないでくれ。肉親がいなくても…皆お前を想っているんだ。王女だって王子だって…もちろん俺や研究所の見習いたちもな?」                         鎮静剤を飲ませて落ち着いたレオノラは 再び眠りについた。皆ふうと、一息つく。 すると小さな神官が、眉を顰めながら提案をした。 「もしよければ…彼女をリンデルで静養させてみたらいかがでしょうか? カナロア神も復活した今、海は穏やかで心安らぐでしょうし」 確かにレオノラは精神的にギリギリのところまで追いつめられている様だ。 ここにいる皆それは気が付いていた。 「そうだな・・・セシリオにも相談して、できるかどうか訊いてみよう。」 ゾリアもそう言って頷く。 「すまないな、皆。彼女は思いつめる性質で・・・。暫く休ませた方がいいかもしれない。」
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