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9/1_教室_始業前
結局、なぜかいつもより早く学校に着いた。
教室に入ると黒板に『自由課題は後ろの棚の上に』と書いてあったので、空いてる場所に置いた。登校途中に右腕がとれたので、棚の上のセロテープで着け直した。箱ロボットの隣に、とても良くできたピンボールがあったので、ロボットが更にみすぼらしく見えた。
溜息をつき振り返ると、運動場側の窓際でクラスメートたちが指差しながらなんだかワイワイと騒いでいる。指す方を見ると500M先の市民公園の森の向こう側に赤と白のカラフルな三角の屋根の様なものがチラッと見えていた。
「徹!あれ、サーカスのテントなんだぜ!」
クラスで一番やかましい雅志が、なんだか自慢げに言った。夏休み中、街の中で何度かサーカスが来るみたいなポスターを見かけた。市民公園には一週間前ぐらいに行ったけど、テントなんて無かった。いつの間に建ったんだろうと思いつつ自分も窓際の集まりに混じった。
教室に入って来る全員が窓際の集まりに取り込まれて、チャイムがなっても席に着くものはいなかった。
「はいはい!テント見物は終わり!席について!」
そう怒鳴りなら先生が教室に入ってきた。多分、先生にも自慢げに「先生!あれ、サーカスのテントなんだぜ!」と言おうと思っていたはずな雅志は、先を越されたみたいな残念そうな顔をしながら席に着いた。僕も他の皆も席に着いた。
教卓に出席簿を置いた先生の横に、女の子が立っていた。
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