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9/1_夜
「お前、自由課題はちゃんと持ってったんか?」
食卓で父が厳しい顔をして聞いてきた。今日転校してきた女の子にもウケたことを言うと、父の顔が緩んだ。大阪人の父は『ウケる』という評価を重んじていた。
「なんでそんなにウケたんや?」
「ロボットの頭の箱が便秘薬だったから」
そういった瞬間、僕の頭頂部に激痛が走った。父を見るとオリガと同じく腹を抱えて爆笑している。振り返えると、母のゲンコツが僕の頭に乗っかっていた。母の顔は真っ赤だった。
「明日持って帰って来なさいっ!」
そう怒鳴る母を、まあええやんかと宥めながら父は爆笑していた。
ベッドに入って、まだ少し痛む頭頂部をさすりながら、僕はオリガを想って幸せな気持ちでマクラを抱いていた。でもやっぱり気持ちの何処かに泣きそうになるあの気持ちがある事に気付き、更に枕を強く抱いて眠った。
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