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9/1_教室_休み時間
体育館での始業式、長い長い校長の話が終わった後、教室に戻って来ての休み時間、オリガの周りには女子達が群がっていた。女子の壁の外側で、僕も含めて男子達は遠巻きにそれを眺めていた。
「オリガちゃんはサーカスの子なの?」
「そやで、私もショーに出てるから見に来てや!」
「オリガちゃんはハーフなの?」
「そやで、オカンがロシア人やねん。でももうオカンはロシアに帰ってしもうたけどな!アハハハ」
漏れ聞こえる情報で男子達もオリガ情報を着々と蓄積していた。結構重たい家庭の事情もさり気なく開けっ広げに話すので、女子達はちょっとドギマギしていた。やがてオリガを核にした女子の塊は教室後ろに向かって自由課題の鑑賞を始めた。
大きな紙に生真面目に纏められた実験レポートや、瓶を紙粘土で包んで色を付けた花瓶的なもの、それらをあれこれ評価しながら、少しづつ移動している。僕の箱ロボットの横のピンボールのところで、「よくできてる」とか「面白ーい」とかの評価が聞こえる。次は僕のガラクタロボ…評価を聞くのが嫌だったので耳を塞ごうとしたその時。
「このロボットめっちゃオモロイやん!!」
オリガの声、口調で、そう聞こえた。
「それ徹のやつじゃん!」
雅志が僕を指差した。女子達が一斉に僕の方を向く。
「これ、頭の箱が便秘薬やん~!あはははっはははははははあはは!」
大きくキラキラした薄茶色の目で僕を見つめながら、お腹を抱えてオリガが笑っていた。
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