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プロローグ
誰が言ったんだっけ。
ノーなんとか、ノーライフ。
かっこいいなあって思ったのよね。
ピピッ ピピッ
私だったら何だろう。
ノーブック・ノーライフ?
うーん、確かに本がなかったら人生真っ暗かもしれない。
ピピピッ ピピピッ
でも、どちらかというと、ノーノベル・ノーライフかな。
それとも、ノーライティング・ノーライフってことになるんじゃ……
ピピピピピ! ピピピピピ!
「わあっ! 遅刻する!」
覚醒しかけの気持ちいいまどろみの中、うっとり考えていた翠(みどり)は飛び起きて、枕元の目覚まし時計を止める。
そしてベッドの上で上半身を起こしたまま、はーと大きく息を吐いて両手で顔を覆った。
眠い、非常に眠い。
体調不良のためお休みさせてくださいと職場に連絡してぐっすり眠れたら、どんなに楽か。
「ダメ……起きなきゃ……休まないって決めたんだから」
翠は、ベッドの誘惑を振り切ってフローリングの床に足を降ろした。
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