壊れたポーセレンドール

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「北斗が無事でよかった。ワインディングロードがまどろっこしっくて、速度の出し過ぎで、何度もガードレールすれすれにハンドルを切った。ようやく着いてみれば、小屋でお前が押し倒されていたから、怒りでどうにかなりそうだった。本当に何も起こらなくて良かった」  拓真のやるせなさや怒りが、触れた部分から北斗に流れこんでくるようで、北斗は身体全体で拓真の感情を受け止めた。  熱くて、愛おしくて、とんでもなく感動した。 「ああ、俺もあんたが欲しい。抱けるものなら俺が抱きたいくらいだ」  拓真の噛みつくような口付けが北斗を襲い、抱くのは俺だと欲望の激しさを北斗の唾液に混ぜ込んだ。それを飲み下す頃には、北斗は細胞の隅々まで、拓真に従順になっていた。
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