271人が本棚に入れています
本棚に追加
北斗は一度机に放ったデザイン画を丸めて、瑛士の頭をパカンと殴って睨みつけた。
身長は174㎝と平均くらいしかないが、顔が小さく手足が長い北斗は実際の背よりは高く見える。
だが、通った鼻筋の両側にある、少し吊り上がった色素の薄い茶色の大きな目で、どんなに藪睨みされたとしても、きれいさに凄みが加わるだけで、怖くもなんともないのが事実だ。
綺麗だと言われることが大嫌いな本人にそれをいう訳にもいかず、瑛士はおお怖っと肩を竦めてみせた。
「木村さん、嘘ばっかり!三沢さんが睨むとヴォーグのモデルみたいに迫力があって、美人度アップするから、私たち女子でも見惚れちゃうんですよね~」
そう、そう、壮絶きれい!と周囲から声が上がった。言い返したりすると余計に反論が返ってくるのは経験済みなので、北斗は無表情でドスンと椅子に腰を下ろす。
「26の男に美人とか壮絶きれいとか言うな!くそムカつく」
隣にいる瑛士にしか聞こえない悪態を吐いて、北斗はCADに向かって部屋の模様を変更し始めた。
最初のコメントを投稿しよう!