Love at first sight

13/16
271人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
 職業柄、気になる顔が目に入ると、骨格や、目鼻口の大きさやバランスをチェックして、パーツの位置をどうすれば美しくなるか、流行りの顔になるかを頭の中で素早く想像する癖がついている拓真だが、画面に写った顔は修正する箇所が見当たらないほどの完璧なシンメトリーを描いていた。  自分のいかにも男をイメージさせるのとは正反対の、男にしては危うい色気がにじみ出ている顔に思わず身体が熱くなる。  人形に恋するなんてあり得ない!これは医者としての美しい者への好奇心だと自分に言い聞かせ、気持ちを切り替えるために、モデルか俳優を模写したのだろうかと、似ている顔を思い浮かべようとした。  だが、思い当たる者はなく、画面を見つめ続けた分、余計に人形の顔が脳裏に焼き付いてしまった。  その若く美しい男の人形は、膝に本を置き、椅子に腰かけたまま、少し顔を斜め上に向けている。まるで、読書中の良い場面で呼ばれて、何の用?とでも言いた気に、大きな琥珀色の目を半開きにして、不満気に睨んでいる様子が印象的だった。
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!