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人形の写真の右上に、拓真は作者の名前を見つけた。
作者は魅蕾と名乗っていて、老舗の陶器メーカーのポーセレンドールの教室で作れる人形のサンプルを作っているらしい。
その作者の他のポーセレン人形の写真は、幸せそうな笑みを浮かべた華やかな衣装をまとった女性たちばかりで、男性の人形は一体だけだった。だから作者は女性なのだろうと拓真は思った。
どの人形の顔も美しく、みんな違う顔に見せてはいるが、目の大きさを変え、笑い方を変えれば、中から一人の人物が浮かび上がってくる。
「この作者は、本当にこんなに美しい顔をしているんだろうか」
女性に対して興味を失っていたはずなのに、拓真は作者【魅蕾】に会ってみたくなった。
他に彼女について何か手掛かりはないかと探してみたが、この教室で学べば、こういった人形を作れますと紹介しているだけで、彼女の人形を売っているわけではないらしい。
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