北斗と七星

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 三沢北斗の家の家業は、日本を代表する老舗の陶器メーカーMisawa Company.,Limitedで、世界最大級の高級陶磁器、砥石、セラミック、メーカーでもある。  日本の陶磁器は、一時期、海外への輸出で華々しい成果を上げていたが、今はもうその影もなく、Misawa Co.,Ltd.も例外に漏れずに業績が落ち込んでいる。  地域に根差している陶器などの産業は、陶器市などで自社商品を販売して売り上げを伸ばす方針から抜け出せず、インターネット販売や、アジア地域の安い陶器に海外市場を奪われ、ここ四半世紀で売り上げは10分の1まで落ちてしまった。  つい数年前には、デパートなどに店舗を構えていた有名な陶磁器のメーカーが倒産して、業界を震撼させたので、各メーカーが進路を見出そうと必死になっている。  そんな状況の中で、本来なら、北斗は大学を出たら家業を継いで、Misawa Co.,Ltd.盛り立てていくつもりでいたが、一卵双生児の妹七星(ななせ)が、セラミック開発部門の開発担当の市田研吾と結婚したことから、状況が変わった。
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