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北斗と七星
「くっそ~~~~!また変更しやがって!いい加減にしろってんだ」
大手住宅メーカーに勤務するインテリアコーディネーターの三沢北斗は、商談から帰るなり、図面とデザイン画を机の上に叩きつけた。
隣の席に座る同僚の木村瑛士が、北斗に同情してチョコバーを投げて寄こす。
「また水穂さんのところか。あの人IC泣かせで有名なんだよ。いつまでも細かいことに拘って、全体を見ていないっていうかさ、やり直し、付け加えで、僕たちICが電話を切ってからいうのは、自分でデザイン描きやがれ!なんだよな」
「俺の大事な時間を、あの人のくだらないアイディアにつきあうために使うのに、一向に金にならないこのジレンマとストレスを何とかしてくれ~~~。なぁ、瑛士に返品するよ。受け取ってくれ」
「いらないよ。二度とごめんんだ。社長の遠縁だか何だか知らないけれど、これと思うコーディネーターに唾つけまくって、引っ張りまわした挙句に、ろくにお礼も言わないんだからな。それに、今は北斗の綺麗なお顔にはまっていて、しょっちゅう思いつきましたのって連絡がくるんだろ?残念だけど、僕の出る幕はないな」
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