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Three conditions
無知というのは怖いものだということを、北斗は身をもって知った。
もし、男が男に抱かれるということがどういうことか、少しでも知っていたら、北斗は軽々しく抱かれてやってもいいなんて口にしなかっただろう。
ほとんど日付が変わるころに、拓真の運転する車で家に送り届けられて、降りる間際に唇を重ねられたが、北斗はもう睨む気力もなく、ともすると思い出すだけで、熱を帯びた場所が収縮しそうで、瞼を震わせた。
「いい表情だ。今度は金曜の夜に来い」
誰が行くかと言い返そうとしたとき、玄関のドアが開き、研吾と七星が出てくるのが見えた。
拓真が二人を見てから、北斗にどうすると問いかける。
そうだった、研吾が人形を盗って逃げたことを七星に知られてはいけない。
「分かった。仕事が終わり次第行く」
車を降りると、さっき拓真が北斗に口づけした後に言った、いい表情が残っていないか心配になり、玄関までのアプローチを俯いて進んだ。
「北斗大丈夫だった?」
「北斗くん・・・・・・」
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