4 拓巳side

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4 拓巳side

「あれ? 千夏は?」 「ちょっと拓巳、千夏ちゃんお願いねって言うたでしょ?」 「拓巳くんなら、居らんよ」  そんなやり取りが交わされとるとは知らず、俺は来た道を引き返しとった。気付いた時には千夏が傍に居らんかった。やばい……お母ちゃんから頼まれとったんに。何でちゃんと見とらんかったんや。  どんどん暗なって周りが見えづろうなる。じんわりと汗が滲んで、気持ちばっかりが逸った。千夏は妹みたいな存在やった。1つ下で意地っ張りで強がりな奴や。けど、人一倍寂しがり屋やったりする。 「来年はお姉ちゃん居らへんからな」  6年生の心春姉ちゃんにそう言われて、それだけで大泣きした。ほんまはもの凄い泣き虫や。 「心春姉ちゃんが居らんなっても、俺が一緒に通たる」  て言うて、手ぇ握ったったらエライ安心した顔してた。それを知っとたんに、それなんに俺はアイツから目を離してしもた。星ばっか見て、いっちょん気にしとらんかった。何をしとったんやろ……。  せやけど、今は自分を責めてもしゃあない。見つけるんが先や。確かアイツは髪を2つに結んどって、ワンピースを着てた。色は確か……(あーわ)い青やった。好きな色は青と黄色やし、間違いないやろ。
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