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 小鳥の歌声が、湧き出る泉のように聞こえてきて、朝の訪れを告げうっすらと目を開ける。うーんと大きく伸びをして朝の空気を吸い込んだ。キッチンに下りたらまず釜のスイッチを入れる。その間に歯を磨いて顔を洗うてしまう。夜の内の汚れを綺麗にしたら、一日の始まりや。  今はタイマーで指定の時間に炊いてくれる炊飯器もあるらしいけど、(うち)はお母ちゃんの拘りもあってガス釜や。なんや昭和臭いてお姉ちゃんは言うとったけど、あたしはこの味が好きやってん。 「あの千夏(ちなつ)がなぁ……。大学入ってから色気づいたとは思とったけど」  (なーが)い髪をひとつに纏めて味噌汁の具を切っとったら、聞き慣れたのんびりとした声が聞こえてきた。 「お姉ちゃん!? いつ来たん?」 「さっきや。暫くこっちに()るから」  驚いて振り返ると、そこに居たんは確かにお嫁に行った筈のお姉ちゃんやった。お姉ちゃんは大学卒業とほぼ同時に去年の春に結婚した。今年のお正月は遅れた新婚旅行やって言って、帰ってきとらん。……やから、会うんはお盆の時以来や。 「前に会うた時に始めた、て話は聞いとったけど、一人で料理できるようになったんやな」  あたしの質問に答えんと、お姉ちゃんは相変わらずマイペースや。
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