あの子がいなくなった。

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あの子がいなくなった。 誰もがそう認識したのは、かくれんぼであの子が見つからないまま、緋色に空が染まりかけてからだった。 あの子の家族に連絡しようにも、誰もあの子がどこの家の子か分からない。 みんな家に帰り、各々 「あの子がいなくなった」 と報告する。 大人もまず、 「どこの家の子?家族に連絡しないと。」 と言う。 どうしようもないので、警察に捜索願いを出す事になったが、誰もあの子の名前すら分からない。 神隠しだろうか。 いや、そもそもあの子を隠す神様すら、いるかどうか定かじゃない。 八方塞がりのまま、最初からあの子が存在しなかったとして、うやむやになった。
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