リス

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リス

リスは木の実の隠し場所を忘れてしまいました。あれだけ一生懸命集めたのに。木の上に登り、地面を観察します。こんもりとした木の葉に覆われた場所があれば降りて確かめます。何度も何度も確めますがリスは発見できません。 リスは神様にお願いします。 「あぁ、神様。僕の一生懸命集めた木の実はどこにいってしまったのでしょう。どうか、どうかその場所を教えてください」 神様は応えます。 「それはもう、どこにもありません。たまたま通りかかった、ウサギが全部食べてしまいました」 リスは悲しくなりました。僕はあんなに頑張ったのにどうして、どうして…。 季節は少し肌寒くなり、もうすぐ冬が訪れる気配がします。 リスはまた、木の実を集める事をしませんでした。一生懸命集めても、きっと誰かに食べられてしまう。それならもうやめようと思いました。 リスは空腹でした。お腹が空いて、空いて。段々寒くなってきました。それは冬が訪れたからではありませんでした。 リスは動かなくなりました。さっきよりも少し小さくなったリスの体は、風が運んできた土と枯れ葉に覆われてこんもりとした場所になりました。 春になり、その場所から緑色の双葉が出ました。 夏になり、双葉は小さな木となりました。 秋になると、その木は小さな木の実をつけました。 冬になると、その実は地面に落ちました。 それを何度も繰り返しいつしか大きな森ができました。そこにはたくさんの木の実があり、たくさんの動物が暮らしています。 しかし、あのリスはどこにもいません。
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