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「あ、地元の方、ですか?」
青年も写真を撮り終えて、私たちの元へと駆け寄ってきた。
「はい。ハクヤの名付け親の鈴木さなえです。すぐそこに両親と住んでいて、保育士として働いて一年目になります」
「あぁ、あなたが…。僕は、北のほうに住んでる遠藤和哉って言います。小学校の先生を目指してる大学の四年です。写真が趣味で、よく色んな地域にでかけてます。よろしく」
「へぇ、写真が趣味ってすてきですね。こちらこそよろしくお願いします」
和哉くんという青年とさなえちゃんの話す様子を見ながら、二人は雰囲気が似ていて気が合いそうだと私は思った。
「君、和哉っていうのか。しかも、小学校の先生志望か。実は、僕は神主のほかに中学校の社会の先生やってて、息子もこの神社で神主になるために見習いしながら、中学校の国語の先生やってるんだ」
男性が自慢げに言うと、「え、そうなんですか?」ととても驚いて和哉くんは男性を見た。
「あぁ。それに、このあたりには色んな年齢の先生がいる。さなえちゃんだって、保育園の先生だしな」
「え、私も入ってるんですか!?…まぁ、一応幼稚園教諭の免許も持ってますけど、私が出たのは二年制の専門学校ですよ。それに比べたら、おじさんや遠藤くんのほうがよっぽど先生って感じ出てますよ!!」
「鈴木さんって、専門学校卒業だったんですね。…っていうことは、もしかして同じ二十一歳!?」
みんな楽しそうに話している。賑やかなのはあまり好きじゃないけれど、私は和哉くんのことも気に入った。こんなに賑やかな時間を過ごすのは、いつぶりだろう。とても不思議な感じだ。
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