バウムクーヘンで午後のひとときを

1/10
前へ
/10ページ
次へ
****** 「バウムクーヘンとミルクって合うよね」 彼女は楽しそうにテーブルの向かい側で僕に語りかけた。 「あぁ、紅茶と併せても美味しいよ」 「私はやっぱミルクが一番よ」 多佳子は牛乳をレンジにかけると僕のために紅茶も淹れてくれた。 「多佳子は乳製品が好きだよな」 「隆司は本当紅茶が好きだね。某刑事ドラマの影響?」 「多佳子、レモンも頼むよ。いやぁね、細かいところが気になる性分でして」 と不敵な笑みを浮かべてちゃかした。 「え、似てないよ」 多佳子はレモンを切ってからミルクに角砂糖を入れて座った。 「バウムクーヘンって本場ドイツでは珍しい食べ物なんだって」と多佳子。 小さくちぎったそれを頬張りながらミルクを少し口にした。 満足げだった。 「珍しい?どこにでもあるよね」 近くのスーパーの店頭にあったのを買ってきたと聞いてたから間違いないはずだ。 「でもね、ドイツではそこら辺に売ってるって訳ではないのよ。専門店で探さないとないのよ」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加