バウムクーヘンで午後のひとときを

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それを聞いて以来渡部さんに対する見方が少しだけ変わった。 [平将門]を読んだからといって決して墓参りに行こうなんて僕は思わない。 渡部さんはどこにそんな興味を持ったのか知りたくなった。 さりげなく二列横の渡部さんを観察してみる。渡部はわりと多い名前で小中高通じてクラスに何人かいた。髪型、身長、顔を観察してみるが普通じゃない所を探すのが大変だった。 真剣に授業の話を聞いている。けど不意にこちらをみた。 目があってこちらに微笑みかけたようにみえた。 あれ、微笑むとかわいいんだな、と顔が赤くなった気がしてそっぽを向いた。 でも、彼女と仲良くなりたいという気持ちが芽生え、暇潰しも兼ねて歴史研究会に入会することにした。 渡部さんを含め女子3人と男子5人で歴研は成り立っている。 活動は毎週水曜日に教室に集まって各人興味ある歴史人物のエピソードを話すだけのものらしい。 僕が入会した時には丁度渡部さんが平家の成り立ちを紹介する番だった。 平家に熱い思いを重ねながら語る言葉に感銘を受けたものだった。
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