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機会が訪れた。次は科学の授業。教室には彼だけだ。名前は早川正男。話しかけてみる。
「次、科学だね」
「そうだね」
「科学、君成績いいけど得意なの?」
「うん、得意だよ。何かわからないことがあったら教えるけど。なんだったらノート貸すよ」
「ノート見せてもらっていい?」
ノートのページを見てみると、几帳面に文字、絵が書いてある。読みやすい。こう言うところにも人間性は出る。
「君趣味は何?」
「人を観察することかな。この学校、このクラスにも色々な人がいる。リーダータイプ。参謀タイプ。クラスのアイドルだけど気が強いタイプ。クラスの端にいるけど心に野心があるタイプ。色々」
もしかしたら、俺のことも見透かされているのかな。
「あまり君クラスメートと話さないけど、色々な人と話した方がいいよ。色々な世界に触れて自分がどんな人間か見えてくる。内側だけではなく、社会が一体どんなものなのか知らないとね!」
校庭ではクラスメートが野球をしていた。
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